瀬戸内古典語教室
◎ギリシア語初級クラスを復活します.
田中美知太郎・松平千秋による『ギリシア語入門』を作文を含んで,隅々まで学習しようという(約2年間の予定)コースです.
開始は本年10−12月期からです.いくつかお問い合わせもあり,その時点ではすぐ開始できなくて
申し訳ないと思っておりましたが,開始のめどがたちました.
お問い合わせがいくつかありましたが,その方々も,再度お知らせいただければ幸いです.
お手間を取らせて申し訳ありません.なお,開催曜日はほぼ毎週(3ケ月で10回)水曜日.夜8時ないしは,8時半から毎回90分の予定です.
◎23年4〜6月期から,「ギリシア語古典を伝える中世写本をInternetを通じて配信される写本写真画像をつうじて読む」というクラスを新設します.
このクラスは,この教室を主催する安西が念願としてきたクラスの形態です.目的はつぎのようなものです.西洋古典の文献伝承の中心を担っている膨大な中世写本群を,ここ10数年来,その所蔵主体,つまり欧米の国立図書館その他が, internetを使って世界のどこでも読めるようになるよう努力を続けて来ました.そしてこれからも,この努力は続けられるでしょう.つまり,日本人から見れば,日本に住みながら,欧米の国立図書館に比較的簡単にアクセスを持てるひとたちとほぼ変わらない便利さで,膨大な中世写本群を読みうる時代がもう始まっている,ということです.そして,ー このことは,このHPのブログを通じて日本国民に向かって主張していきたいことですが ー 私が考えているところによれば,我々日本人も,写本を所有しているひとびと変わらない程度に,ギリシアやローマの古典を自分たちの古典だと考えている人々とそれほど変わらない程度に,その程度に自分たちの古典として読むことを必要としております.また,その読む力も,印刷された諸テクストを読むという面に限れば,彼らと変わらない段階に近いところにあります.ただ,西洋古典を伝える中世写本を読むというのに必要な経験を我々は,まだ残念ながら少ししか持たず,また,中世写本を読むということは,ある初歩的な訓練を必要としています.その初歩的な訓練をギリシア語の古典について提供しようというのが,このクラスの目的です.
◎ 2023年度7-9月期 開催
日曜のクラス:7月:9,16,23,30: 8月:6,20,27: 9月:3, 10, 24
ほぼ隔週木曜日のクラス:7月:13, 27 : 8月: 10, 24: 9月: 7,21
です
◎ 2023年度10-12月期 開催予定(微調整がありえます.ご注意ください)
日曜のクラス:10月:8,15,22,29: 11月:12, 19, 26: 12月: 10, 17, 24
ほぼ隔週木曜日のクラス:10月:5, 19 : 11月: 2, 16: 12月: 7, 21
です
2023年4月-6月期・開催予定
● 「デーモステネース・王冠論」を読む(日曜日11:00~12:30)
Demosthenes, On the Crown (Harvey Yunis 校訂および注,Cambridge University Press, 2001 ISBN 9780521629300 paper ¥4000程度)を基礎教材にして,ポリス・アテーナイの「文学的営為」の掉尾を飾る作品に挑戦する試みです.上記の注釈書を基礎に,講師の追加注を毎回配布しながら,読んでいきます.ギリシア語初歩文法(たとえば田中・松平)を終えた人たちが,最初に直接ギリシア語文献と格闘するという仮想的な設定で読むという講読の2冊目です.4月は,第25節あたりから始まると思います.
● Caesar, de bello gallicoを読む(日曜日9:00~10:30)
Caesar De Bello Gallico VII (Bristol Classical Press ISBN 9781853996320)を基礎にして,講師の追加注を毎回配布しながら,読んでいます.今期は,VII-23章から再開です.ラテン語初歩文法(たとえば中山『標準ラテン文法』・白水社)を終えた人たちが,最初に直接ラテン語文献と格闘するという仮想的な設定で読んでいます.2023年4月23日に実施されたクラスでは,VII. 24冒頭から,VII.24をほぼ読みました.これぐらいの速度です.
● ソフォクレース・アンティゴネーを読む(日曜日 16:00〜17:30)Sophocles Antigone (ed. etc.) by M.Griffith, Cambridge Greek and Latin Classics ,1999 (¥4000ていどISBN 9780521337014)
ギリシア悲劇を教材に取り上げるのは初めてなので,韻律の基礎概念からはじめて,ゆっくり進む予定です.4月は,Antigone 526行からになると思います.毎回多い日は30行弱,問題の多い箇所ではその半分という速度で読んでいます.毎回講師の自家製の注釈用資料をも添えてお送りしながら進めています.
● 開催される日(日曜日開催の全クラス)
4月 : 9,16,23,30
5月 : 14,21,28
6月 : 4,11,18
● ギリシア語古典を伝える中世写本をInternetを通じて配信される写真版をつうじて読む.
4月から試みられるクラスです.ギリシア語古典は,通常,よく知られた校訂済みのテクストを辞書や文法書を片手に,場合によれば,既に発行されている,欧語や日本語の翻訳を参照しながら,読解を進めるのが常識だと考えられているようですが,それがあるべき唯一の方法ではありません.理想的には,古典を伝える,主として中世写本の文字を自分で読み取りながら,例えばギリシア悲劇作品を自分で構成しながら,読み取るものです.この読み方は,ギリシア古典が我々のところに伝えられている道筋を考えれば当然そうあるべき読み方です.しかしながら,たとえば日本の古典文献読解は,ギリシア語古典を伝える写本が,ヨーロッパの数多い図書館に所蔵され,実質的には,その写本へのアクセスが不可能であるがゆえに,それができない,そして,だからしないで良い,という前提で長く続けられて来ました.しかし,主要写本の数多くがinternetを通じて画像として配信される今日,印刷済みの校訂本だけを頼りに読解を進めてよい,とするギリシア古典の読み方は,ある意味言い訳の効かない怠惰だとこの教室の主催者は考えています.さいわい,このクラスの参加者のひとりである方が,internetの写本情報に詳しく,その部分の担当を引き受けてくださると申し出てくださったので,こういう形で,ヨーロッパ古典の現在我々日本人に許されている最大限の形での受容がどこまで可能か,ともあれ試してみることを始めるべきだと決心しました.ヨーロッパ古典を本当に読みたいと思っておられる方の参加を呼び掛けたいと思います.
これから入手される写真が教材ですが,他に,
L.D.Reynolds&N.G.Wilson,
Scribes &Scholars, Oxford(最新版は,4th ed. 2013)を副教材として指定します.
なお,最初に読むテクストとしては,プラトーンの『ソークラテースの弁明』を指定します.各自,適切な副教材を入手してください.
[追加説明ー5月19日]
なお,現在クラスは進行中ですが,必要最小限のキャッチ・アップの為のトレーニングを受ければ,途中からでも参加できます.途中からの参加をご希望なさる方は,ご連絡ください.なお,このキャッチ・アップの為のトレーニングは,自動的にクラスは,『ソークラテースの弁明』を,主要写本を転写・確認しながら読む,「通常クラス」に転入することを必ずしも前提としていません.写本を読むということの基礎だけを習得するという参加の形式も可です.本年度の10月-12月期から開催の予定です.曜日等は未定です.
● 開催される日(隔週木曜日 19:00〜20:30)
4月 :13, 27
5月 :11,25
6月 :8,22
ルール
・ 3ヶ月で一期.年4学期制
・ 学期に10回開催されるクラスの学費は25000円 .6回のクラスは15000円.学期開始の時点で納入済みにしてください.
・参加者の都合で休む場合は別にして,学期途中からの参加,途中での入・退会の場合は,予めお知らせ下さい.適切な額に変更します.
(なお,参加者の数名が2クラス掛け持ちの形で参加していますが,その方たちの授業料負担がちょっと大きすぎるような気がして,全参加者に了解をとった上で,一期ごとに50000円,あるいは 40000円のところをそれぞれ40000, 32000円に割引します.値下げの必要はないのに,という太っ腹なご意見もありましたが,この教室が仮想的に持つはずの文化的意義に免じてご理解いただければ幸いです)
詳しく知りたい方へ
授業内容や形式などに関するご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
講師のつぶやき
このページを,講師(安西眞)の古典語日誌として使います.現在どれかのコースに参加中のひとたちや,参加に興味をお持ちのひとたちへのメッセージが含まれています.時間がおありの時にお読みください
新着ニュース
4月より初級ギリシャ語クラスを開講する予定です。テキストは、田中美知太郎・松平千秋、『ギリシア語入門 新装版』、2012年、岩波書店です。 ご関心のある方はどうぞお問い合わせください。