瀬戸内古典語教室

西洋古典を学ぶためのオンライン教室


 この教室は,古代ギリシア・ローマ人が,文明をめぐる先駆的労苦の産物として後世の私たちに残した文字の群れを読み解く力を身につけ,そして,実際に協同で読み解いてみる作業を行うオンラインの小型教室です.

 ギリシア語もラテン語も決して易しい言語ではありませんが,それらを学ぶことよって,私たちは古代人の言葉と直接に向き合い,その声に耳を傾けることができます.また,それらの作品群は,西洋の文化の礎をなすものでもあり,現代を生きる私たちにとっても無縁のものではありません.

 古代ギリシア・ローマの世界,そして,西洋の文化を深く理解したいと思っていらっしゃる皆さまのご参加をお待ちいたしております.

新着情報


2025年 夏期 7月–9月 の授業日程を掲載いたしております(カレンダーもご覧ください).途中からのご参加も歓迎いたしておりますので,どうぞお問い合わせください.(2025/05/17,2025/05/25更新)

クラスのご案内

初級から中・上級まで,お好きなクラスをお選びになれます.


  • 3ヶ月を 1期とし,1年に 4期となります.
  • 1期あたり 10回のクラス と,6回のクラス とがあります.以下の各クラスの説明をご覧ください.
  • どのクラスも,数期あるいは数年にわたって継続します.
  • 途中からのご参加も歓迎いたします.随時お問い合わせください.
  • zoom を使用したオンライン教室です.パソコン等や通信環境は,各自でご用意をお願いいたします.※ラテン語初級クラスでは,Microsoft Teams を使用いたします.

■ 基礎となる文法を学ぶ初級クラス

ギリシア語初級クラス

【2025年 夏期 10回】
水曜日 20:00–21:30

  • 7月   2(水),    9(水),  23(水),  30(水)
  • 8月   6(水),  27(水)
  • 9月   3(水),  10(水),  17(水),  24(水)


 田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波書店,ISBN 9784000225892)を,作文問題も含めて隅々まで学習しようという,意欲的なコースです.2023年10月から約2年間の予定で進めています.
 文法を一度履修した方が,確認のために復習するのにも,適しています.

ラテン語初級クラス

【2025年 夏期 10回】
土曜日 16:00–17:30

  • 7月    5(土),  19(土),  26(土)
  • 8月  16(土),  23(土),  30(土)
  • 9月    6(土),  13(土),  20(土),  27(土)


 2025年4月新規開講で,中山恒夫『標準ラテン文法』(白水社,ISBN 9784560017616)を 1年かけて学習します.一見それほどの厚みはありませんが,非常に奥が深い文法書ですので,ゆっくりと授業を進めていきます.
 ラテン語を学んでみたいとお考えの多くの皆さまのご参加をお待ちいたしております.
※なお,本クラスでは,Microsoft Teams を使用いたします.

《講師の自己紹介》
 担当講師の 末吉 未来(すえよし みく)です.私は,この教室の主宰者・安西眞先生の北海道大学での最後の学生の一人であり,修士課程で 2年間ご指導いただきました.また,安西先生と同じく四国に生まれ育ち,日本から,さらに言えば地方から,古典語を学ぶことの意義を考えてきました.これまでもラテン語を文法から講読まで初学者の方々に教えてまいりましたので,全くの初心者の方でも安心してご受講いただけます.

■ 作品を読み進めていく読解クラス

『神々の本性について』読解クラス

【2025年 夏期 10回】
日曜日 09:00–10:30

  • 7月    6(日),  13(日),  20(日),  27(日)
  • 8月  10(日),  24(日),  31(日)
  • 9月    7(日),  14(日),  21(日)


 2025年4月新規開講で,Cicero(キケロー)の『神々の本性について』を読解します.
 この作品は,Cicero が晩年,ヘレニズム思想の 2大潮流である Epicurus派・Stoa派の思想を紹介・批判する目的で短期間に書いたものです.鼎談として構成されており,登場人物は,Epicurus派の思想を信奉する政治家である C. Velleius と,Stoa派の Q. L. Balbus と,著者 Cicero の信奉する Academeia派懐疑論の代弁者でもあり,両者のいわば行事役を務める C. Cotta の 3人です.3巻からなるこの作品の第1巻は,C. Velleius を中心にして展開されます.
 成立の環境から,文章としての完成度に問題がある作品として,やや厳しめの評価もされていますが,逆に「読む」ことを鍛えるのに適した文章であるかもしれません.
 教材は,読解上のサポートとして講師が毎回作成して配布する注解のほか,Cicero De Natura Deorum Book I (ed. etc. by Andrew R. Dyck, Cambridge Greek and Latin Classics, 2003. ISBN 9780521006309) を使用します.

『アナバシス』読解クラス

【2025年 夏期 10回】
日曜日 11:00–12:30

  • 7月    6(日),  13(日),  20(日),  27(日)
  • 8月    3(日),  10(日),  24(日),  31(日)
  • 9月  14(日),  21(日)


 クセノポンの『アナバシス』第2巻を読解します.
 この作品は,大学の学部におけるギリシア語教材として突出した人気を得ているもので,初級・中級の仕上げとして最適のものです.
 教材は,読解上のサポートとして講師が毎回作成して配布する注解のほか,M. W. Mather & J. W. Hewitt, Xenophon’s Anabasis Books I-IV (University of Oklahoma Press, ISBN 9780806113470) を使用します.

『ピンダロス祝勝歌集』読解クラス

【2025年 夏期 6回】
日曜日 16:00–17:30

  • 7月  13(日),   27(日)
  • 8月  10(日),   24(日)
  • 9月    7(日),   21(日)


 2025年4月新規開講で,『ピンダロス祝勝歌集』を読解します.
 祝勝歌は,ギリシアの 4大競技会での勝者を寿ぐ宴の中心プログラムとなった合唱隊歌上演がそのままテクストとなり,古代から伝わるものです.この詩人による数多くの歌の他に,バッキュリデースとシモーニデースによるものがいくつか伝えられています.明らかにこの種の合唱隊歌は,ギリシア悲劇を生み出したものであり,ですから,合唱隊というものが,どういう上演のための装置か,ということがより優れた読解のための焦点です.合唱隊歌の言語であるギリシア語ドーリス方言は,悲劇で合唱隊歌を少しでも経験したことがある方達には大きなハードルではありません.
 教材は,Pindar Victory Odes: Olympians 2, 7 and 11; Nemean 4; Isthmians 3, 4 and 7 (ed. etc. by M. M. Willcock, Cambridge Greek and Latin Classics, 1995. ISBN 9780521436366) に従って,これに講師手製の注釈を加えてお送りするといういつもの方式で,読み進めていきます.

『2冊のピンダロス研究』

 来期のピンダロス講読に参加予定の方から,書誌的情報をお知らせくださいというご要求があり,そのご要求に対して,ごく短いピンダロス研究史紹介をするという形で対応しようとしてこの短い文は綴られました.
 2冊の本をご紹介します.

  • Schadewaldt, W., Der Aufbau des pindarischen Epinikion. Halle 1928
  • Bundy, E., Studia Pindarica. Berkeley, California 1962


 私は,大学院修士の学生として,ピンダロスの祝勝歌研究論文を作成して修士号を戴きましたが,その指導をして下さった先生からお薦めいただいた 2冊の研究です.この 2つの研究だけが,盲目の者たちが象の体に触れてなした報告ではないものを人類史上に実現したものだ,ということです.
 前者は,ピンダロスの祝勝歌を構成している,Motiv と呼ぶことのできる,各祝勝歌にほぼ共通して見られる構成要素に着目して,それらを横断的に観察し,あるいは分類を試みたものです.あるいはこのような形でピンダロス祝勝歌を解明しようとしたものです.
 後者は,こうした要素を組み立てて祝勝歌はできているが,その組み立ての論理とは,laudandus(褒め称えらるべき人),すなわちそれぞれの祝勝歌が献呈された相手を,あるいは相手の名を讃える,修辞のシステムに他ならないとして,その主張を 2つの小さな祝勝歌を題材にして解説したものです.

 どちらも人文系の歴史的名著でありますから,今でも買えるようです.

 私が出した『ピンダロス研究』(北海道大学大学院文学研究科研究叢書)は,もちろんこれらの上にできたものですが,ピンダロス祝勝歌が合唱隊によって演じられたという視点から彼らの仕事を再読み直しすればどうなるかを試みたものと言えます.

 書誌的情報が鬱陶しいものになったことを恥じます.
 講読順は,Willcock のコメンタリーの目次に掲載されている順で読んでいこうと考えています.

■ 作品の読解とテキスト伝承を学ぶ演習クラス

中世写本を読むクラス

【2025年 夏期 6回】
木曜日 20:00–21:30

  • 7月  10(木),  24(木)
  • 8月    7(木),  21(木)
  • 9月    4(木),  18(木)


 この教室を主宰する安西が,念願としてきたクラスの形態です.
 このクラスを開講する背景には,次のような状況があります.西洋古典のテキスト伝承の中心を担っているのは膨大な数の中世写本群ですが,その所蔵主体である欧米の国立図書館等は,ここ十数年来インターネットを使って世界のどこでも写本を読めるようにする努力を続けてきました.そしてこれからも,この努力は続けられるでしょう.
 このことは,私たちも日本に住みながら,欧米の国立図書館に比較的簡単にアクセスできる人たちと変わらない便利さで,中世写本群を読みうる時代にすでになっている,ということです.
 しかし,こうした環境が整いながらも,残念ながら私たちは,西洋古典を伝える中世写本を直接読む経験をまだ少ししか持っていません.また,中世写本を読むには,初歩的な知識や訓練を必要とします.
 そこで,このクラスが目的とするところは,その初歩的な知識や訓練をギリシア語の古典について提供しようというものです.

 このクラスでは,プラトンの『ソクラテスの弁明』を読解し,3つの主要な中世写本の画像を見て,実際に筆写を行ない,また異読を比較検討していきます.

★ 写本を見たことがない方のために,必要に応じてキャッチ・アップのためのオリエンテーションをご用意いたします.ギリシア語の中世写本にご興味をお持ちの方は,どうぞお問い合わせください.

授業料

  • 1期 10回のクラス :  25,000円/期
  • 1期   6回のクラス :  15,000円/期


  • 複数のクラスにご参加の場合は,各クラスの授業料の合計額から 20% 割引となります.


  • 前納制です.
  • 期の途中からの参加あるいは途中での退会の場合は,お知らせください.適切な額に調整いたします.


  • 教材の書籍は,授業料に含まれません.各自でお買い求めください.
  • パソコン等の購入や通信に必要な費用などは,授業料に含まれません.各自でご負担ください.

詳しくお知りになりたい方へ

授業内容や形式などに関するご質問がありましたら,お気軽にお問い合わせください.